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農産品販売にあたってマーケティングをどのように活かすかについて、シリーズで考えていきます。


農業界に新しいマーケティングを導入しよう[NO.7]
〜ブランドは脱価格競争のカギか〜

 価格競争の渦に巻き込まれて、生産者も流通も疲弊しています。この渦から抜け出そうとする手法としてあげられのが、ブランド構築(ブランディング)です。
 まず、ブランドとは何か、という基本的な問題から出発したいと思います。一般に「ブランド」の定義は「個別の企業・財やサービスを競合他社のそれと区別、識別するための名称、記号、シンボル、マーク、デザインやその組み合わせ」です。したがってブランドは、特定の商品やモノといった有形の財のみならず、そのブランドが示す、すべての企業活動を表す無形の顧客創造への価値といっても良いでしょう。
 また、ブランドは、売り手やメーカーをあきらかにすることによって生まれる、顧客の心象風景の中の「ものさし」ともいうことができます。ネーミング(名称)とは、決定的に異なりますね。ネーミングは商品についているもので、商品価値が無くなれば必然的に消滅しますが、ブランドは永続的・無限の使用可能性があるのですから。

 次にブランドの機能ですが、
・特定の物理的機能、基本属性をあらわす価値
・情緒的、感覚的、心理的満足を有する価値
・自己表現、社会的・文化的規範を発揮する価値  があります。


 たとえば、自動車の場合、<特定の物理的機能・基本属性>は「エンジンが良い」「室内・トランクが広い」「室内装飾が良い」「アフター・サービスが優れている」「ディーラーが多い」など車自体の特徴・機能や、サービスなどに関する付帯的価値を含む基本的な価値のことです。
 <情緒的・感覚的・心理的満足>は、機能や属性がもたらす自己満足の価値ですから、「爽快な走り」「軽やかなフットワーク」「走りの楽しさ」「ゆったり感」「安心・安全の満足」などがあるでしょう。
 そして<自己表現・社会的・文化的満足>とは、そのブランドを持つことによるステータスや社会的な満足感です。
ブランド設定(ブランディング)の目標は、そのブランドに対して顧客が肯定的な状況や連想(イメージ)を作り出すことにあるのです。ですからブランドは、企業理念や企業行動・企業の行動規範などの企業アイデンティティをどのレベルに合わせるか、を決定することが重要であり、単に商品の認知促進やベネフィットだけを限定するネーミングとは異なるというわけです。

 最後にブランドの効用としては、
・ブランド認知やブランド・ロイヤルティにより、マーケティング・コストが軽減される
・顧客が販売店にそのブランドを扱うことを期待するため、流通業者との交渉が有利になる
・競合他社の商品に比較してより高いイメージがあれば、価格競争で高価格を維持できる
・ブランドが浸透し、定着すれば信用力が上がり、ブランド拡張に優位となる
・他社からの同等商品の発売を抑え、価格競争にも防衛力が働く  などが挙げられます。

 ブランドは、顧客の心に浸透し、歳月を重ねて熟成されていくものです。企業の想いや志にかかわらず、一人歩きして、顧客の中で自己増殖していきます。市場シェア競争とは別の次元で、顧客シェアを獲得する有効な武器なのです。だからこそ、生産者や企業はその理念を顧客に十分認識させ、定着させることに意義があるわけです。それは、そのブランドがいかに「物語」を作れるかにかかっています。お客様との契約がブランドなのですから、一旦築かれたブランドが裏切られた場合、その信用が失墜し、企業の存続にまでかかわることは昨今の状況からも推測することが可能でしょう。
 数多の企業から発する情報の中から選ばれるには、商品のニーズやベネフィットだけでは充分ではありません。顧客に認知される理念や志をいかに込められるか、またそのブランドを維持し、高めるための機能・組織(ブランド・マネジメント)をどのように動かすか、ということが重要になります。今そのブランドがどの次元にあるのかを知るためには、競合他社と比較したポジショニングを測定する指標作りが必要であり、そのためのブランド効果測定調査が求められるのです。

 


 

林 辰男(はやしたつお)

(株)ジャパン・アグリ-カルチュア・マーケティング&マネジメント(通称jamm)取締役(マーケティング担当)。1966年(株)博報堂入社。企業・自治体のマーケティング、リサーチを担当、その後農業プロジェクトに参画。2000年同社を定年退職、自治体・農業団体の調査、農業関連のマーケティング、リサーチ、プランニングに携わる。

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